無塵衣の選び方
クリーンエリアで着用する無塵衣は、現在多くの種類が販売されています。消耗品ですので価格が気になる所だと思いますが、無塵衣を選ぶ際には他にも考慮していただきたい点があります。
[素材]
- 生地の素材・縫製:汚れに強く内部からの透過がない素材や織り方になっているか、縫い目から透過しないような縫製になっているか、洗濯やオートクレーブに耐えられる生地かどうかの確認が必要です。買い替え時期の参考となるので、洗濯やオートクレーブの耐用回数についての情報を持っているか、あらかじめメーカーに問い合わせておくと良いでしょう。
- 制電加工(静電気防止加工):ポリエステル素材を使用している無塵衣が多いようですが、静電気を帯びると無塵衣の表面にゴミや埃が付着するので、制電加工が施されているか確認しましょう。
- 生地の厚み:無塵衣と肌が直接触れている部分から、汗や菌が透過することがあります。生地は厚い方が透過を防ぐことができますが、その分作業者が暑さを感じたり操作性が低下したりするので、購入前に試着するなどして確認した方が良いでしょう。無塵衣のデザインによっては、袖口や腹部等、汚染の可能性が高い部位だけ生地を二重にしているものもあります。
[デザイン]
- フードなし:比較的グレードの低い区域(グレードCやグレードD)で作業を行う場合は、フードのない軽装でも良いでしょう(下の写真左)。ただし、ヘアキャップは装着しましょう。
- フード別:顔周りのフードは汚れやすいため、分かれていることによりフードのみ頻回にクリーニングする事が可能となります。
- フード一体型:フードと体の部分が一体になっていることにより、着脱が容易となります。ファスナーは体の正面にあり、首元まで続いています(下の写真中央)。
- マスク・フード一体型:フードが口元まで覆うデザインになっており、ポンピング発塵(作業者の動作で無塵衣内側の空気が押し出され、手首や首周りの開口部から発塵する現象)を軽減する事ができます。ファスナーは体の側面から頭部まで続いています(下の写真右)。マスク着用部分が二重になるため、飛沫による汚染に対してより安心です。
[洗濯・除菌]
- 使い捨て:予算に余裕がある施設であれば、使い捨ての無塵衣を購入し、使用毎に交換するのが理想的です。ただし、タイベックススーツ(ポリエチレン素材の不織布)の様な使い捨て専用の製品を繰り返し使用すると、微粒子の発生源となるので注意しましょう。
- 洗濯業者の選定:無塵衣を洗濯する場合、普通の洗濯機では除塵できません。可能な限り、除塵・滅菌が可能な専門業者に委託しましょう。
- 購入枚数:洗濯頻度(クリーンエリアの使用状況に応じて決定します)や職員の人数に応じて、必要枚数を計算します。専門業者に洗濯を委託する場合、仕上がりに時間がかかる(1~2週間程度)ので、その点も考慮しましょう。
2016年掲載