2020年12月1日から12月4日までオンラインで開催された第37回プラズマ・核融合学会年会にて、核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部 先進プラズマ実験グループ 隅田脩平(研究員)が若手学会発表賞を受賞しました。
核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部
先進プラズマ実験グループ 隅田脩平(研究員)
( 発表内容と個人コメント )
発表件名:JT-60Uにおける遅波のイオンサイクロトロン放射を駆動する高速イオンの同定
核融合炉においてプラズマを高温に保つためには、プラズマの加熱を担う高速イオンの制御が重要です。この高速イオンの制御には、高速イオンの振る舞いを診断する必要があります。高速イオンが発生させるプラズマ中の様々な波は、高速イオンの物理の情報を有しているため、その波を用いた診断方法の開発が進められてきました。高速イオンにより発生する波の内、MHz帯の周波数を持つ波の発生現象はイオンサイクロトロン放射と呼ばれます。一般的なイオンサイクロトロン放射は速波と言う性質の波が発生しますが、JT-60Uでは遅波の性質の波の発生も観測されました。しかし、その詳しい発生機構は不明でした。本研究では、遅波のイオンサイクロトロン放射の機構の解明に向けて、その発生源となる高速イオンの同定を試みました。高速イオンの振る舞いをシミュレーションできる粒子軌道追跡コードと、プラズマ中の波の発生を計算できる波動分散コードを組み合わせて実験結果を解析しました。その結果、プラズマに入射した負イオン源中性粒子ビームに起因した高速イオンが遅波の発生源であることを明らかにしました。
この度は若手学会発表賞を受賞し、大変嬉しく光栄に存じます。このような受賞の機会を頂きましたことは、関係者の皆様のご指導やご協力あっての賜物であり心よりお礼申し上げます。今回の受賞を励みに、核融合炉における新たな高速イオン診断法の確立を目指し、より一層研究に精進していきたいと存じます。