第8回NEXT(数値トカマク)研究会

【本研究会は終了いたしました】

炉心プラズマ研究部では、平成８年度より数値トカマク（NEXT）計画を推進しています。この計画は、超並列計算をはじめとした近年の計算科学の著しい発展を背景に、プラズマの振舞いを規定している基礎方程式にできるだけ忠実に従うことにより、プラズマ中で展開している現象を計算機上に再現し、核融合プラズマの複雑現象の物理的解明を図ることを目的としています。このような核融合プラズマシミュレーション研究の推進にあたっては、その物理手法・計算科学手法において、核融合研究の分野のみならず幅広い学問分野の英知を結集する必要があります。そのため、本 NEXT 研究会においては、核融合・プラズマ物理を中心に光量子物理、天体・宇宙物理、流体物理および数値計算物理など、広範囲の関連研究分野の方々の参加・報告をお願いし、企画させていただいています。

第８回 NEXT 研究会は、平成１５年３月３日、４日に東京の日本原子力研究所計算科学技術推進センターで開催され、５４名（所外研究機関から３０名）の方々からの参加を得、３１件（口頭発表１８件、ポスター１３件）の発表がありました。

なお、当日のプログラムおよび出席者名簿は、それぞれ、下記に示しています。今回は NEXT 計画の中心課題である、輸送現象、電磁流体力学的（MHD）現象、およびダイバータ・ＳＯＬ領域などの周辺プラズマ現象解明のためのシミュレーション研究、及びを中心に、天体・宇宙物理等におけるシミュレーション研究、レーザー核融合や高強度レーザー・プラズマ相互作用の進展に関して報告していただき、活発な議論がなされました。また、ITER（国際熱核融合炉）計画の進展を踏まえ、日本における核燃焼プラズマ統合コードに関する講演とともに、来日中のM.S.Chu 博士（米国）より米国における電磁流体数値シミュレーション研究の現状に関して講演がなされました。さらに、NEXT計画を通じての協力・共同研究や実験とリンクした超高速実時間処理等、超並列計算機の新しい利用法についても原研で開発中のストレージグリッドを中心に活発な議論がなされました。

また、去年に引き続き開催したポスターセッションにおいても広範な研究領域における活発な議論が行われました。これらの発表は今後のNEXT 計画の着実な推進に資するものであり、ご多忙中にもかかわらず、本研究会に出席していただいた諸先生方にお礼申\し上げます。

第8回ＮＥＸＴ研究会事務局

日時：平成15年3月3日〜4日
場所：東京 上野 日本原子力研究所計算科学技術推進センタ

プログラム

• NEXT 計画の現状と今後     岸本泰明（原研那珂）

特別講演

• 大循環モデルの地球シミュレータ向け最適化技法
  新宮哲（地球シミュレータセンター）

核融合プラズマにおける乱流シミュレーション

• 弱衝突性スラブITG乱流の運動論的シミュレーション
  渡辺智彦（核融合科学研究所 理論・シミュレーションセンター）
• Gyro-fluid simulation of zonal flow dynamics in tokamak turbulence
  J.Li（原研那珂）

レーザー及びレーザー核融合における多階層シミュレーション

• 高速点火核融合の実験と計算機シミュレーション
  三間圀興（大阪大学 レーザー核融合研究センター）
• プラズマ生成原子過程を考慮した統合化粒子シミュレーション
  正木知宏（原研那珂）
• 高速点火核融合プラズマの多階層結合型シミュレーション
  坂上仁志、城崎知至（姫路工業大学工学部、大阪大学 レーザー核融合研究センター）
• 高速点火爆縮流体力学シミュレーションの現状と課題
  砂原淳（大阪大学 レーザー核融合研究センター）

MHD と運動論的効果

• ヘリオトロンプラズマにおける交換型モードの非線型解析
  市口勝治（核融合科学研究所 理論データ解析）
• 運動論的ＭＨＤシミュレーション
  内藤裕志（山口大学工学部電気電子工学科）
• 球状トカマクの緩和現象に関するＭＨＤシミュレーション
  水口直紀（核融合科学研究所 理論・シミュレーションセンター）
• MHD simulation of relaxation in helicity-driven low aspect ratio toroidal plasmas
  影井康弘（姫路工業大学）
• トカマク磁気軸近傍の新古典輸送解析
  佐竹 真介（総合研究大学院大学）

核融合プラズマにおける統合コード

• 多スケール乱流シミュレーション
  矢木雅敏（九州大学応用力学研究所）
• 核燃焼プラズマ統合コード構想
  福山 淳（京都大学大学院工学研究科原子核工学科）
• Current status of MHD numerical simulations in US
  M.S.Chu（General Atomic）

大規模シミュレーションと可視化

• ブラックホール降着流の多階層シミュレーション
  松元亮治（千葉大学理学部物理学教室）
• ダイバータプラズマのシミュレーション研究
  清水勝宏（原研那珂）
• 原研Origin3800システムにおける大規模核融合プラズマシミュレーションおよびストレージグリッドの開発  
  井戸村泰宏（原研那珂）

計 18件

ポスター

• AUSM系MHDスキームの開発
  三好隆博（広島大学大学院理学研究科）
• 高速点火核融合プラズマの多階層結合型シミュレーション
  城崎知至（大阪大学 レーザー核融合研究センター）
• 高速点火爆縮流体力学シミュレーションの現状と課題
  原淳（大阪大学 レーザー核融合研究センター）
• ヘリカル系における圧力駆動型不安定性の三次元数値解析
  山岸 統（京都大学エネルギー科学研究科）
• 電流ホール形成における電子慣性の効果
  石澤 明宏（京都大学エネルギー科学研究科）
• Stability of ballooning modes and its stabilization by toroidal flow at tokamak edge region
  古川勝（原研那珂）
• Effect of magnetic fluctuations on zonal flow generation due to slab ITG modes
  宮戸直亮（原研那珂）
• Stability analysis by solving the two-dimensional Newcomb equation
  相羽信行（原研那珂）
• PARASOL シミュレーションの最近の成果
  滝塚知典（原研那珂）
• Ferromagnetic and Resistive Wall Effects on Beta Limit in a Tokamak
  栗田源一（原研那珂）
• ＶＲおよび３次元ＣＧによる科学的可視化
  井門俊治（埼玉工業大学情報工学科）
• 理論原子データベースの開発
  佐々木明（原研関西）
• 大規模シミュレーションにおける遠隔共同研究システムの構築
  菅原章博（原研那珂）
• Self Organized Critical Behavior of High Power Laser Pulses Propagatin in Neutral Gases     J.Koga（原研関西）

計 13件

参加者リスト(敬称略)