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先進プラズマ研究開発

JT-60制御 | 装置全体の運転状況を監視する

掲載日:2018年12月26日更新
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装置全体の運転状況を監視する 

装置全体の運転状況を監視する説明図


JT-60の運転は、各設備が有する制御システムを対象に監視データを収集・処理し、上図に示すように4種類の「運転モード」と呼ばれる運転区分を定義して、それぞれのモード毎に機器の運転状態を規定している。運転の変更は、モード間の移行という形で実施され、また現状のモードから逸脱を監視することで運転管理を行う。

運転モードの管理では、各装置から10秒または1分周期で温度・圧力・回転数・流量・開閉器の状態等のデータを収集し、それを使用して論理演算を行い、逸脱の有無やモード移行の可否を判断する。

また、装置起動の可/不可を運転状態から判断し、運転員に知らせる機能など、支援機能が多数用意され、全体の監視を1〜2名の運転員で行うことが出来るよう工夫されている。

運転制御計算機システムはJT-60制御システム全体の運転を制御するシステムである。

運転制御計算機システム

運転制御計算機システムは、JT-60全体の運転状態を司るシステムで、主に下記の3つの機能に大別される。

(1)警報監視
  JT-60システム全体の安全管理を目的とし、各設備及び全系制御設備で検出した警報を監視し、警報に応じた処理を行い、各処理で必要な情報を提供する。
  ・WS上へ表示するための表示バッファへの登録
  ・非標準事態診断に使用するためのファイルへの保存
  ・放電停止または次回放電停止が必要な警報では放電制御計算機システムのシーケンス管理処理への通知

(2)モード管理
  JT-60の運転は、「運転モード」と呼ばれる運転区分を定義し、それぞれのモード毎に装置・機器の運転状態を規定している。モード移行に際しては、装置・機器の運転状態、設備プロセスデータを計算機に取り込み、各装置・機器が移行出来る状態か否かチェックを行う。

(3)許可/禁止管理
  各装置・機器の運転開始の許可または禁止は、運転モードにより決定される。また、運転項目によっては手動によりインターロックが解除でき、運転開始の許可を出すことができる。管理としては、現在の運転モード、各装置・機器の運転状態およびプロセスデータの3項目を基に、
  ・運転内容が許可される運転モードにあるか?
  ・運転開始により設備間のインターロックが作動する恐れがないか?
  ・インターロックが作動しないまでも運転上好ましくない状態にならないか?
  等を検査し、装置・機器が運転開始を許可出来る状態にあるか、禁止すべき状態であるか判断し、その結果をWSに表示し運転員に通知する。

運転制御計算機システムの図

 

実験運転を円滑に行う

中央制御室の写真   JT-60の実験運転を行うには、まず各設備をそれぞれの現場において点検した後、ポンプ・冷却器等の補機類を起動する。次に中央制御室(右写真)に設置された中央制御盤(写真右端の大型グラフィック盤の左右に並ぶ盤)から主要な機器を起動する。これらの操作が終わると各設備の実験に係わる機器の制御権を各設備中央制御盤から全系制御設備に切り換える。これにより、各設備を総合的に動作させる必要のある実験放電は、全系制御設備の中央コンソール(ワークステーション)での設定・操作のみ有効となる。

放電スケジュール表の写真   実験を行うには、放電時の機器の動作内容を規定する「放電条件」を、実験主任用ワークステーションにて予め設定する。設定された放電条件は、放電の順序を規定するスケジュール表(左図)の画面の中の待ち行列に登録される。順番になると、条件は各設備機器の動作条件に自動的に翻訳され、放電に先立ち機器に設定され、またあるものは放電中、実時間で個別に機器に指令が出される。
  約15秒間の実験放電が終了すると、様々なデータが全系制御設備、あるいは計測装置用計算機に一旦集められ、その後直ちに最終利用形態としてのデータベースがデータベース計算機にて自動的に構築される。それら実験結果データは、全系マン・マシンワークステーション群のワークステーションで参照したり、結果データ取得ルーチンを用いて計算コードに利用したりして、プラズマの解析を行うことが出来る。
  このように、JT-60の実験運転は電子機器を多数利用した制御系を構築することによって、この中央制御室で集中して実施することが出来る。大規模分散システムであるJT-60の実験運転を約20名程度の人数で遂行できる理由はここにある。

放電を手順通りに実施する

放電条件が作成され計算機に送られると、人間が行う実験の準備は終了である。これから先は計算機が放電条件に従って実験を進め、1放電が終わると結果データを収集しデータベースを構築して、次の放電条件の待ち状態となる。この計算機が行う実験進行の自動制御を制御される対象の違いに応じて2つに分類して考える。
放電シーケンス制御:放電に向けて各装置に指令を発したり、準備状況を監視し放電中の各種タイミングを設定し、放電中は異常の有無を監視し、放電後は結果データを収集する一連の手順を管理制御する。
プラズマ制御:プラズマを着火している間、プラズマに流れる電流、位置形状、密度等を希望する値に高速にフィードバック制御をしたり、条件に従い加熱を行うと共にコイル等の異常も監視制御する。